MPoRのモデリングで一般的な仮定とは

マージンピリオド、いわゆるMPoR、のモデリングについては過去記事でも少しずつ書いてきた。

 
MPoRのモデリングでは、以下の4つのイベントが重要である。
 
⑴デフォルトしそうなカウンターパーティが担保支払いを止める時点
 
⑵⑴を受けて、自社が担保支払いを止める時点
 
⑶デフォルトしそうなカウンターパーティがついに約定キャッシュフローの支払いを止める時点
 
⑷⑶を受けて、自社が約定キャッシュフローの支払いを止める時点
 
ここで、約定キャッシュフローとは、契約で定められたキャッシュフローのことであり、スワップであれば毎回の利払いである。
 
⑴から⑷は、この順番で起こる可能性が高い。
担保の支払いと約定キャッシュフローの支払いでは、担保の支払いの方が、遅延することは多い。
 
約定キャッシュフローについては、それが遅延するとそれこそFailure to Payということになるため、もはやデフォルト寸前である。
 
一方で、担保支払いについては、実際には担保受払金額をめぐってディスピュートが発生することもあるため、遅延することはけっこうある。
 
このため、順番としては、
・担保の支払いがストップした後で、
・約定キャッシュフローの支払いがストップする、
ということになる。
 
 
以上を踏まえて、⑴から⑷について、一般的な仮定を述べる。
一般的な仮定の置き方としては2つある。
1、Classical-
2、Classical+
 
1、については、⑴から⑷が全てMPoRの開始時点で起こる、とするものだ。
つまり、相手の担保支払いが止まったら、
・その日のうちに自分も担保支払いを止めて、
・その日のうちにお互いの約定キャッシュフローがどちらもストップする。
 
2、については、
・⑴と⑵はMPoRの開始時点で起こり、
・⑶と⑷はMPoRの終了時点で起こる、
とするものだ。
つまり、相手の担保支払いが止まったら、
・その日のうちに自分も担保支払いを止めるが、
・自分の約定キャッシュフローは止めず、
・相手も約定キャッシュフローを支払い続ける、
という仮定だ。
 
他の仮定としては、よりAdvancedな仮定の置き方も2つある。
 
3、Aggressive
4、Conservative
 
3、については、
・⑴と⑵の間にはタイムラグがあるが、
・⑶と⑷は同時に起こる、
という仮定だ。
これはつまり、⑴と⑵の間で、
・相手が担保支払いをしなくなったのに、
・自分はバカ正直に担保支払いをしている。
このような期間をmargin flow gapという。
 
4、については、⑴から⑷の間に全てタイムラグがある、という仮定だ。
これはつまり、
・⑴と⑵の間にmargin flow gapがあり、
かつ、
・⑶と⑷の間にtrade flow gapがある。
trade flow gapとは、
・相手が約定キャッシュフローを支払っていないのに、
・自分はバカ正直に約定キャッシュフローを支払っている
期間である。
このtrade flow gapから生じるリスクのことを、教科書ではよくHerstatt Riskと書いてある。

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