Libor fallback が商品や通貨により異なる?

米国ではローンや債券など、デリバティブ以外のいわゆるcash productsについて、すぐにLiborに切り替えるのは困難なので時間的猶予を持たせた方がいいのでは、との意見が出ている。

その一方、デリバティブ取引については、国によらず、ISDA主導でfallbackを発動させて、一斉にRFRに置き換えようとしている。
このようになってくると、ヘッジ手段であるデリバティブだけが自動的にRFRに切り替わってしまい、そのヘッジ対象であるローンや債券はLiborのまま、という状態になる。そうなると、ヘッジ会計が適用されていたものが一斉にワークしなくなり、デリバティブ損益がPLにはねてきてしまう。

一方で、欧州では、ISDAの提示したバックワードルッキングな調整済みRFRではなく、フォワードルッキングなターム物RFRで置き換えるべきだ、との意見が大勢を占めている。
このままEUR圏が独自路線を歩むと、EURはフォワードルッキングなターム物RFRに切り替わるが、その他の国はバックワードルッキングなRFRに切り替わる、ということになり、市場が分断されてしまうだろう。
欧州ではやっとRFRとしてECBのEsterとなった状態であり、Ester自体の公表もまだ行われていない、というくらい他国より遅れているにもかかわらず、Esterを参照するデリバティブから作るターム物RFRでないと困る、と主張しているのは、個人的にはかなり不思議に思える。

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