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今回は以下の記事の続きである。
ざっくり解説
まず、割引金利は調達金利(ファンディングレート)であり、
・有担保取引であれば担保に付利される金利
・無担保取引であれば無担保の借入金利
である。
上記の記事では、無担保取引について、現状用いられている割引金利についてまとめた。では、Liborが廃止された後、割引金利におけるLiborはどのようなものに置き換わるのだろうか。
Liborが無くなった後に、まず問題となるのは、
・無担保で国内通貨を借りてくる
の部分である。この借入金利は何なのだろうか。ここでは通貨は円に限定して話を進める。現在であれば、Libor6M+ファンディングスプレッドの形で(ある程度は)観測可能と考えられる。しかしLiborが無くなった後は、ファンディングスプレッドがそのような形では観測できないことになる。
将来的にどのような形で観測できるのかは、まだ不明だが、あり得るのは以下の3通りだろう。
(1)Tonar1D+スプレッド
(2)Tonar6M+スプレッド
(3)Tibor6M+スプレッド
国内通貨の無担保金利だから、円の話である。円のRFRはTonarであり、それは1Dayの金利である。そう考えると自然なのは(1)であり、これは現在のOISカーブをベースカーブとして、それに乗せるスプレッドがファンディングスプレッドとなる。しかし無担保の借入金利は、長期ゾーンであれば債券の形で観測するだろうから、OISのように1Dayの金利がベースになることは考えにくい。
債券のクーポンは円であれば6Mごとであろうから、RFRであるTonarを6Mのターム物に変換した、(2)のように、Tonar6Mにスプレッドを乗せた形で観測できる可能性がある。しかし(2)の問題は、フォワードルッキングなターム物であるTonar6Mのトレードは、しばらく流動性がないだろう、ということだ。そもそもTonar6Mの公表自体、まだ始まっていない。それを参照する取引の流動性が出てくるのはまだだいぶ先だろう。
そう考えると消去法で残るのは(3)である。Tibor6Mに対するスプレッドとしてファンディングスプレッドを観測し、それをもとに無担保割引カーブを作る。Tibor6Mを参照する債券は現在でも存在しており、それをそのまま継続するだけである。Liborで調達していた債券が、Tibor調達に置き換わり、無担保の割引金利もTiborに置き換わる可能性がある。