Break ClauseやMutual Putと、システミックリスク

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デリバティブ契約には、取引相手のクレジット悪化時に中途解約できる条項が付いていることがある。

 
デリバティブの契約書は、
・ベースとなるISDAマスター契約
・取引ごとに締結する個別取引契約
に分けられる。
 
クレジット悪化時の中途解約条項は、
 
・ISDAマスター契約に入れる場合は、追加的終了事由Additional Termination Event (ATE)と呼ばれる。
 
・個別取引契約に入れる場合は、Break ClauseやMutual Putと呼ばれる。
 
いずれにしても、目的はカウンターパーティリスクの削減である。
よくあるパターンとしては、
取引相手の信用格付けが一定水準を下回ると、デリバティブを中途解約できる、
というものである。
 
これら中途解約条項にも3種類あり、
 
⑴強制的に解約されるもの
 
⑵行使すれば解約できるもの(行使するかどうかは任意)
 
⑶決められた条件を満たしていれば解約できるもの
 
に分けられる。
 
また、解約する権利が、
 
・片方の当事者にのみ付与されている場合
 
・双方の当事者に付与されている場合
 
に分かれる。
 
しかしこれら中途解約条項には、いくつか問題が指摘されている。
 
・そもそもカウンターパーティリスクの低減にあまりつながらないのでは?
 
・システミックリスクを高めてしまい、市場の不安定につながるのでは?
 
といったものである。
 
このような問題が指摘される理由には、以下のようなものがある。
 
・クレジット悪化により信用格付けの格下げが起こるのには、かなりタイムラグがあり、中途解約しても手遅れの可能性が高い。
 
・格下げによって、その会社と取引していた金融機関が全て中途解約することになる。格下げされたのが金融機関の場合は特に、小さなイベントが大きなシステミックリスクにつながる。
 

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