金利系エキゾチックデリバティブのプライシングにおいて、使用する金利の期間構造モデルのキャリブレーション対象について考える。商品によってキャリブレーション対象にはいろんなものがあるが、最もポピュラーなのはコターミナルスワップションである。
1つのスワップションではなく、複数のスワップションたちをまとめて指すときの用語には、以下のようなものがある。
・コターミナルスワップション
・コイニシャルスワップション
・コンスタントマチュリティスワップション
まず、コターミナルスワップションとは、スワップスタート日が異なるが、スワップエンド日が共通しているスワップションたちである。例えば、
・1Y後スタートの4Yスワップ
・2Y後スタートの3Yスワップ
・3Y後スタートの2Yスワップ
・4Y後スタートの1Yスワップ
のそれぞれを原資産とするスワップションたちである。これらは全てスワップエンド日が5Yで共通している。
コターミナルスワップションがポピュラーである理由は、金利系エキゾチック商品にはたいていバミューダンコーラブル条項が付いており、途中で権利行使した場合に発生するスワップが、いずれもコターミナルスワップだからである。
上の例であれば、1Yごとに権利行使可能な満期5Yのコーラブルスワップを考えると、途中で権利行使した場合に発生するスワップは、上記のコターミナルスワップであることがわかる。
次に、コイニシャルスワップションとは、スワップスタート日は共通しているが、スワップエンド日が異なるスワップションたちである。例えば、
・スポットスタートの1Yスワップ
・スポットスタートの2Yスワップ
・スポットスタートの3Yスワップ
・スポットスタートの4Yスワップ
・スポットスタートの5Yスワップ
のそれぞれを原資産とするスワップションたちである。
コイニシャルスワップションが出てくるのは例えば、アモチ付きスワップションの評価である。
上の例は、スポットスタートの5Yスワップで、1Yごとに元本が定額ずつ減っていくスワップに対応している。元本が5億円であれば、1年ごとに1億円ずつ元本が減っていくので、5億円のうち
・1億円は満期が1年
・次の1億円は満期が2年
・また次の1億円は満期が3年
・さらに次の1億円は満期が4年
・最後の1億円は満期が5年
ということになるため、これらはコイニシャルスワップションの原資産に対応していることがわかる。
最後に、コンスタントマチュリティスワップションは、それ自体よりもコンスタントマチュリティスワップの方が重要でよく出てくるため、別記事で書きたい。
—–