(1)ノンパラメトリックなLocal Volatility Model
(2)パラメトリックなLocal Volatility Model
ローカルボラティリティモデルというときはたいてい(1)のほうを指す。(1)ノンパラメトリックなLocal Volatility Modelの特徴は以下の通り。
・Dupireの式でローカルボラティリティを計算するもの
・ローカルボラティリティ関数にパラメトリックな関数形を仮定しない
・マーケットボラティリティの補間・補外モデルがインプットとして必要となる
・マーケットのボラティリティサーフェイスが満期方向とストライク方向になめらかになっていると仮定する
・満期方向の1階微分、ストライク方向の2階微分のどちらかがマイナスになるとローカルボラティリティが計算できない(平方根の中がマイナスになる)
・マーケットのボラティリティサーフェイスを完全に再現できる。つまり、バニラオプションマーケットにインプライされている原資産の分布と整合的になるように、エキゾチック商品をプライシングできる。
それに対して、(2)パラメトリックなLocal Volatility Modelは、はボラティリティが原資産に依存しており、かつ、その関数形がパラメトリックに書けるものである。これは複数の具体的なモデルを1つにまとめて言う時の総称であり、具体的には以下のようなモデルが含まれる。
・CEV(Constant Elasticity of Variance)モデル
・Displaced Diffusion(Shifted Lognormal)モデル
特徴としては、ローカルボラティリティの計算が容易だけれども、マーケットのボラティリティ全てを再現することはできない(キャリブレーション誤差が生じる)。
CEVモデルとDisplaced Diffusionモデルはいずれも、対数正規分布と正規分布の中間の分布を生成するのに使用されている。伝統的にはボラティリティのスキュー(スマイルの傾き)を表すのに用いられてきた。CEVモデルをATM付近で線形近似したものがDisplaced Diffusionモデルである。これらはエキゾチック商品のプライシングというよりは、バニラ商品のプライシングに用いられる。
CEVモデルはSABRモデルの原型である。CEVモデルに対数正規型の確率ボラティリティを追加するとSABRモデルになる。
Displaced Diffusionモデルは近年、マイナス金利に対応できるからということで、金利オプションのボラティリティのクォート形式として用いられている。つまり、プライシングモデルというよりは、バニラオプション価格を表す1つの単位(尺度)として用いられている。