プロキシースプレッドの推定方法

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解説

シングルネームCDSが取引されていないカウンターパーティのCDSを計算するには、人工的にCDSスプレッドを作る必要がある。これをプロキシースプレッドという。これを設定する方法には、以下のようなものがある。

・インデックスCDSからマッピングする。例えば株価でいうところのベータ値を利用する。
 
・信用格付け、地域、業種ごとに集めたCDSスプレッドを用いて、クロスセクション推定を行う。
 
・情報ベンダーが売っている、既にクロスセクション推定済みのCDSスプレッドを購入する。
 
最後の、ベンダーから購入するケースが最も多いように見受けられる。
格付け、地域、業種からマッピングするにしても、日本企業のCDSはかなり企業数が限られており、ごく一部の企業を参照するものしかないため、これらの属性に該当するCDSが市場で1社や2社しかない、あるいは、全くない、というケースが起こり得る。特に低い格付けだと、市場にあるCDSは東電だけ、というようなケースもあり得るので、そのような非常に少ないサンプル数で推定したスプレッドの妥当性には疑問が残る。
 
邦銀であれば、カウンターパーティの信用リスク管理は専門分野だからと、外部格付けではなく、自分たちが設定した行内格付けを用いて、市場にあるシングルネームCDSからマッピングする、ということも考えられる。
 
また、邦銀によっては、CDSではなく、行内格付けに紐付くデフォルト確率と損失率から求める
ということを考えているかもしれない。しかし、もはやこのようにヒストリカルのデフォルト実績から推定したスプレッドを用いるのは、市場慣行に反しているため、当局や監査人から問題視されるだろう。

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