金利為替ハイブリッドモデルのキャリブレーション

金利を確率的に動かす場合の為替モデルについて、キャリブレーションするときに注意する点がある。それは、長期ゾーンの通貨オプションにボラティリティパラメーターを合わせに行くときである。

通貨オプションはたいてい満期が短く、10年を超える満期のものはあまり取引されない。こういった長期ゾーンの通貨オプションは主に、PRDCなどの為替リンククーポンを払うスワップに関するヘッジ取引によって相場が形成されている。それでも少しマイナーな通貨ペアになると、10年超のグリッドでマーケットボラティリティが取れない、というのはよくある。
 
このようにマイナーな通貨ペアであっても、CVA計算では金利為替ハイブリッドモデルをキャリブレーションしないといけないため、長期の為替マーケットボラティリティが必要だ。簡単な方法としては、見えている最長満期のボラティリティをフラット補外してそれにキャリブレーションするか、パラメーター自体をフラット補外してしまうかである。
 
マーケットボラティリティをフラット補外した場合に発生しうる問題は、そのマーケットボラティリティから来る分散から、金利ボラティリティから来る分散を除去すると、マイナスになってしまうことだ。
金利ボラティリティに比べて為替ボラティリティが低すぎると、2通貨の金利ボラティリティだけで為替ボラティリティを超えてしまい、スポット為替固有のボラティリティパラメーターをキャリブレーションできなくなる。
スポット為替固有の分散がマイナスになるので、ボラティリティが虚数になってしまい、計算がストップする。これはエマージング通貨を含む為替について、長期のボラティリティにキャリブレーションしようとするとよく発生する問題だ。
 
対処法としては、2通貨とスポット為替の合計3つのフャクターについて、それらの相関に期間構造を与えるなど、長期の相関を柔軟に設定してあげることだ。
しかし、これでも問題が解決しない場合も多く、止むを得ず、ボラティリティパラメーターに非常に小さな値を設定するなどの対症療法で乗り切ることもある。

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