金利為替ハイブリッドモデルのキャリブレーション 再訪

・長期の為替系エキゾチック商品のプライシング
・コーラブル条項の付いた為替系エキゾチック商品のプライシング
・XVAプライシング
 
といった用途で用いる為替モデルは、金利と為替をともに確率的に動かすハイブリッドモデルである。
 
このハイブリッドモデルのキャリブレーション手順は、
 
⑴国内金利モデルをキャリブレーションする
⑵外国金利モデルをキャリブレーションする
⑶⑴と⑵の結果として得られた2つの金利モデルのパラメーターをインプットにして、為替のボラティリティパラメーターをキャリブレーションする
 
という順番になる。
 
ここで問題になるのは、⑶で、
・インプットの為替インプライドボラティリティが低いと、
・2つの金利で蓄積されたモデルの分散が、
・為替のインプライドボラティリティから求めたマーケットの分散を超えてしまう、
という点である。そうなると、為替のボラティリティパラメーターが虚数になって計算できない。
 
この問題が発生しやすいのが、長期のオプション満期である。
 
長期のオプション満期では、マーケットのボラティリティが取得できないことも多い。そのときの対処法は2通りある。
 
方法1
 
マーケットで観測できる最長満期のボラティリティを適当に補外して、得られた人工的なボラティリティにキャリブレーションする
 
方法2
 
マーケットで観測できる最長満期のボラティリティをキャリブレーションし、得られたモデルパラメーターを適当に補外する
 
つまり、
・マーケットボラティリティを補外するのか、
・モデルパラメーターを補外するのか、
の違いである。
 
上で書いた問題が発生しやすいのは、方法1であり、方法2であれば、ある程度は回避することができる。
なぜなら、
・方法1では、人工的に追加した長期グリッドでキャリブレーションしないといけないが、
・方法2では、そのキャリブレーションをしないですむからである。
 
さらにやっかいなのは、満期によらずインプライドボラティリティが取得できないような通貨ペアである。
例えば、対円のエマージング通貨などである。
 
これらマイナーな通貨ペアのインプライドボラティリティはあまり観測できないため、ヒストリカルボラティリティで代用することも多い。
その場合、ヒストリカルボラティリティに対して為替モデルをキャリブレーションすることになり、
上に書いた問題が起きやすいので注意が必要だ。
 

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