2種類の回収率:処理時リカバリーと実現リカバリー

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解説

以前にCDSのリカバリーレートとCVAのリカバリーレートの記事を書いた。
 
 
本記事では、リカバリーレートには2種類あり、それはCDSのリカバリーとCVAのリカバリーにそれぞれ対応している、という話を書く。
 
まず、デフォルトなどのクレジットイベントが発生した後の流れを知っておく必要がある。
以下の順番で発生する。
 
⑴クレジットイベント発生
⑵CDSのオークション決済
⑶OTCデリバティブの回収金額について破産管財人と合意
⑷デフォルトした企業が完全に清算される
 
⑵のCDSのオークション決済は、クレジットイベント発生後すぐに行われるが、
それに比べて、⑶のOTCデリバティブの回収率が決まるのには時間がかかる。
なぜなら、OTCデリバティブは相対でオーダーメイドに取引条件を決定しており、ネッティングや担保を考慮するのにも時間がかかるからである。
 

処理時リカバリーとは、⑵の段階で決まる回収率のことである。

デフォルトした債券をいくらで売却できたか、を表す。
 
一方で、実現リカバリーとは、⑶の段階で決まる回収率のことである。
破綻処理後、デリバティブからいくら回収できたか、を表す。
 
これらを踏まえると、CDSのリカバリーとCVAのリカバリーがどれに対応するかがわかる。
 
処理時リカバリーは、CDSのリカバリーレートに対応している。
これは、CDSスプレッドからデフォルト確率を逆算する際に用いる回収率に対応しているように見える。
しかしながら、まだデフォルトしていない参照企業について、デフォルト後の処理時リカバリーを予想するのは困難である。
一部のデフォルト寸前の参照企業はリカバリーロックの市場が発生するが、通常の企業にはインプライドなリカバリーレートが見える市場はない。
そういうわけで、CDS市場では40%などと適当に決められたリカバリーレートが使用されている。
 
一方で、実現リカバリーは、CVAのリカバリーレートに対応している。
つまり、期待エクスポージャーにデフォルト確率をかけて合計し、最後に(1ー回収率)をかけるときの回収率である。
 
これら2つのリカバリーは、CDSが参照している無担保シニア債とデリバティブの弁済順位が同順位であれば、同じ値を用いるべきであり、たいていの場合はそうであろう。
 
しかし、プロキシースプレッドを用いる必要があるカウンターパーティについては、たまに、この2つのリカバリーに異なる値を用いているケースがある。
 
プロキシースプレッドのリカバリーは、それを推定するのに用いるサンプルはほとんど欧米のものだから、欧米のコンベンションでリカバリーレートは40%となるだろう。
しかし海外プロジェクトファイナンスでは、実務上はそれよりかなり高いリカバリーレートが、CVAのリカバリーの方に用いられている。
これは、2つのリカバリーレートが異なってしまう例である。
 
その場合、リカバリーレートに対するCVAの感応度が大きくなるのだが、それはまた別記事で書こう。

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