以前、バニラオプション価格のざっくり近似式について書いたが、今回はその逆で、バニラオプション価格からインプライドボラティリティを逆算する近似式である。通常、精緻にボラティリティを逆算するにはニュートン法やBrent法などの非線型方程式の数値解法を用いるが、ここではトレーダー向けとして、解析的にざっくり計算する方法をいくつか記載する。
(1)Brenner et al.の方法
これはATMオプションにしか使えない。以前に書いたバニラオプション価格の近似式をボラティリティについて解いたものに他ならない。
C = (1/√2π) S (Sigma √T)
これをSigmaについて解けばよい。
Sigma = (√2π /√T) (C / S)
あとは(1/√2π)をざっくり0.4で近似してもいいだろう。
(2)Bharadia et al.の方法
これはATM以外にも使えて、(1)をATM以外に拡張した形になっている。
ストライクをKとしよう。
Sigma = (√2π /√T) (C – (S – K)/2) / (S – (S – K)/2)
(3)Corrado-Millerの方法
これはATM以外にも使えて、(2)をさらに精緻化したものだ。
ストライクをKとしよう。
Sigma =
(√2π /√T) 1/(S + K)[ (C – (S – K)/2) + { ( C – (S – K)/2 )^2 – (1/π) (S-K)^2 } ^(1/2) ]
他にも、もっと複雑な近似式はいろいろあるようだが、複雑になってしまうと、近似式を使うありがたみがなくなるため、上記の3つあたりを知っておけばいいのではないかと思う。