ATMオプションのBlack-Scholesざっくり計算式は以下の通り。
0.4 S(0) Sigma √T
一方、金利系について、ATMオプションのBachelierざっくり計算式は以下の通り。
0.4 Sigma √T
まず、配当なしのBlack-Scholes式を思い出すと、
S(0)N(d1) – K exp(-rT) N(d2),
d1 = {log(S(0)/K) + (r + 0.5 Sigma^2)T} / (Sigma √T)
d2 = d1 – Sigma √T
ここで、N()は標準正規分布の分布関数である。
ATMストライクを K = S(0) exp(rT) とすると、BS式は、
S(0) { N(d1) – N(d2) },
d1 = 0.5 Sigma √T,
d2 = – 0.5 Sigma √T = – d1
となる。あとは標準正規分布の分布関数N(x)をゼロの周りで
N(0) + N'(0) x + 0.5 N”(0) x^2
と2次近似して代入すると、
S(0) { N(0) + N'(0) d1 + 0.5 N”(0) (d1)^2 – N(0) + N'(0) d1 – 0.5 N”(0) (d1)^2 }
S(0) {2 N'(0) d1 } = S(0) {N'(0) Sigma √T }
ここで、N'(0) = 1/√2 π はだいたい0.39894なので0.4で近似すると、
0.4 S(0) Sigma √T
を得る。よって、スポット価格、ATMボラティリティ、満期だけでざっくり計算できる。
次に、原資産が正規分布に従う場合、Black-Scholes式に対応するのは以下のBachelier式である。
Sigma √T { d N(d) + n(d) },
d = (F – K) / Sigma √T,
ここで、N()は標準正規分布の分布関数、n()は標準正規分布の密度関数である。
金利系のATMはフォワードであるから、K=Fを代入すると、d=0で、
Sigma √T { n(0) } = Sigma √T { N'(0) }
だから、N'(0)を0.4で近似すると、
0.4 Sigma √T
を得る。よって、ATMボラティリティと満期だけでざっくり計算できる。