LCH-JSCCスワップションベーシス 続報

Swaptions CCP Basis Arrival Raises Wider Valuation Questions

記事

・新しく出てきたマーケットレートを時価に反映するためには、それがfunctioningでtradableなマーケットになっていないといけない。

・LCH-JSCCスワップションベーシスは、ヴォイスブローカーマーケットで観察されていたが、それだけではこのベーシスを時価に反映させるのに十分な情報とはいえない。

・MarkitのTotemサービスでは、3月に既に6つの銀行に対して、このベーシスを提供し始めていた。

・銀行が6つも関与していれば、銀行の規模やその提供された値の正確性にもよるが、時価に反映させるのには十分な情報である。

・Totemに参加していない会社にとっては、このベーシスが、やはりBloomberg画面で観察できるかどうかが重要である。

・実際に、3月7日に日本のブローカーである東短が、LCHスワップのスワップションとJSCCスワップのスワップションで、異なるクォートをBloombergに表示させたことで話題になったが、たった3日後にこのベーシスの画面は取り下げられることになった。

・その原因として、ベーシスの値が正確ではなかったからではないか、と言われているが、

実際には、ブローカーがトレーダーからの反応を受け、取り下げたのではないか、とも言われている。トレーダーにとっては、多額の損失に繋がるからである。

・Totemサービスと銀行、そして、銀行とブローカーの間に、利益相反がある。

・銀行がTotemに提出したベーシスが、ブローカーマーケットで観察されていたベーシスの半分くらいしかなかったとの話もある。これも、銀行が自分たちの損失を少なく済ませたいとの思惑がはたらいたのではないか。

・銀行はブローカーに対して、自分たちに損失が発生するようなレートは提示しないよう、圧力をかけた可能性も考えられる。

・現在は、一時期国際的に広まっていた、円金利の動きに賭ける投資行動も縮小しているため、LCH-JSCCスワップションベーシスは消えたままだが、

この問題は円スワップションに限った話ではなく、今後も他の商品で、このような損失の隠蔽が発生する可能性もある。

・このような事態が起こっていては、どのマーケットレートを信用して、損益を計算するためのインプットとして用いればいいのか、わからなくなってしまう。

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