FRTBの矛盾:PLA TestとNMRF

FRTB: proxy risk factors may trigger model failures

Risk (Sep 2017)

記事

・P&L Attribution Test (PLA Test)では、フロントオフィスのプライシングモデルで計算した”Hypothetical P&L”とミドルオフィスのリスクモデルのインプットで計算した”Risk Theoretical P&L”を比較し、十分近くないといけない。

・このTestをクリアできないと、内部モデルが使えなくなってしまい、非常に保守的な標準的手法を使わざるを得ない。

・厳しいPLA Testをクリアするには、リスクモデルをフロントモデルに近づけるために、フロントのモデルで用いているような、マーケットで観測できないリスクファクター(相関などか?)をリスクモデルに追加する必要がある。

・一方で、上記のようなマーケットで観測できないリスクファクターを追加すると、これらのファクターがNon-Modellable Risk Factor (NMRF)として認識され、追加的な資本が要求されてしまい、内部モデルを用いるメリットがなくなってしまう。

・逆に、NMRFを、それと似たリスクファクターでかつ、マーケットで観測できるもの(proxy)で置き換えると、NMRFによる追加的な資本要求は避けられるが、今度はリスクモデルがフロントモデルから乖離してしまう(proxyとNMRFの差がbasis riskとして残る)ので、PLA Testをクリアできなくなるかもしれない。そうすると内部モデル自体が使えなくなり、資本要求が巨額となるため、本末転倒となってしまう。

・PLA Testを重視する場合は細かいリスクファクターをひたすら追加すべきだが、NMRFを重視する場合は細かいリスクファクターはあまり追加すべきではない。おそらくどの銀行もこれら2つの中間で妥協案を探ることになる。

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