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ざっくり説明
バリアンススワップとは、実際の株価変動の分散と、あらかじめ決めた分散の固定値を交換するデリバティブ取引である。
分散とはバラツキのことであり、株価が乱高下すると分散は大きくなる。
よってバリアンススワップ契約が固定分散の支払いであれば、
・固定の金額を支払い、変動の金額を受け取る
・株価が大きく変動すると受け取りが増える
・支払いは固定なので変わらないが、受け取りが増えるのでもうかる
ということである。
ペイオフの計算式
満期でのペイオフは、
元本 × ( (実際の変動率) − (固定値の変動率) )
である。このうち、(実際の変動率)の部分は以下の式で計算する。
\( \frac{252}{N} \sum_{i}{ \left( \log \left( \frac{S_{i+1}}{S_i} \right) \right)^2 } \)
つまり日次の対数変化率の二乗を満期まで積み上げていき、それを年率換算したものだ。\(N\)は観測日数である。
注意点
ここで、分散は、確率変数からその平均を引いたものの二乗の平均、である。しかし、上の式では二乗の中で平均を引いていない。
これはただ単に計算をシンプルにするために、平均がゼロと仮定しているだけであり、厳密には分散と一致しないだろう。
観測の頻度を限りなく増やしていくと無限のNに対して、ある条件のもとで対数変化率の平均はゼロに収束する。
また、観測日数の\(N\)についても、不偏分散にするために\(N−1\)で割る流儀もあるようだ。
バリアンススワップがあると何がうれしいのか
なぜこんな商品が出てきたかというと、ボラティリティの動きに直接賭けたい、というのがモチベーションである。
バニラオプションではなぜダメなのか
ボラティリティに賭ける商品としてはバニラオプションがあるが、これはボラティリティ感応度だけでなく、原資産に対する感応度もある。
すなわち、ベガに賭けているだけではなく、デルタやガンマのリスクにもさらされている。
さらに、バニラオプションは、原資産が動いてアットザマネーから離れるほど、ボラティリティ感応度はゼロに近づいていく。
ディープインザマネーやディープアウトオブザマネーになるとベガはほとんどなく、原資産に対するリスクをもっていることになる。
このため、純粋にボラティリティに対してベットできる商品として、開発されたのがバリアンススワップである。
ボラティリティスワップという商品も一応あるが
ボラティリティにベットしたいのであれば、ボラティリティスワップにすればいいわけだが、ボラティリティスワップにすると、かなりプライシングがやりにくくなる。
このため、ボラティリティスワップという商品も実際に結構トレードされているのだが、プライシングの煩雑さを避けられるバリアンススワップの方がメジャーである。