韓国の銀行が個人投資家に販売したデリバティブ連動商品で、元本の大半が毀損する恐れがある、とのニュースが話題になっているようだ。
商品に組み込まれているのは、ドイツ国債のCMS10Yに連動するデリバティブ、とのことだが、いかんせん詳細な商品性が出ていない。個人投資家であれば生デリバではなく仕組預金や仕組債券の形になっているはずである。
これら仕組預金や仕組債の時価は、ざっくり、元本とデリバティブ時価の合計と考えればよい。デリバティブ時価がマイナスになれば、元本が毀損することになる。
エクイティ系商品であれば、株価がダウンインバリアにヒットすると、元本に株価のプットオプションの売り、またはフォワードの買いが発生し、元本の多くが失われるケースがある。これらはプット償還やフォワード償還と呼ばれることもある。
一方で、金利系商品はクーポンと早期償還のオプション性くらいで、元本償還にオプション性が入るケースは少ない。
損失が大きくなるケースとして思いつくのは、CMSスプレッドのレンジアクルーアルが組み込まれている場合だ。レンジアクルーアルは、参照金利が一定のレンジに収まっていた日数分だけクーポンがもらえる商品である。当面レンジに入りそうにないほど参照金利が下がってしまうと、クーポンLegの時価が小さくはなるだろうが、元本の半分以上が毀損するなどということはない。
CMSスプレッドのクーポンはたいていゼロフロアがついているため、逆イールドになっても、受け取りクーポンがマイナスになることはないが、これがついていないと、マイナスの受けで払いになってしまうことはありえる。
しかしながら、元本の半分以上が毀損するというのはやはり、元本償還にオプション性が入っていたと考えるのが自然だ。FX TARNで円高になると2倍や3倍の負け分を払わされるのと同じように、レバレッジのかかったオプションが元本償還についており、それが低金利や逆イールドでノックインしてしまったのかもしれない。
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