SABRモデルのもとでのモデルボラティリティの近似式には多くの種類がある。
ここで、モデルボラティリティの近似式というのは、ShiftedLognormalボラティリティの近似式であれば、それはShiftedBlack式に代入できるボラティリティ、ということである。
Normalボラティリティの近似式であれば、それはBachelier式に代入できるボラティリティ、ということである。
それらのうちパイオニア的なのがHagan近似であるが、このHagan近似にもいろんなバリエーションがある。
⑴元のモデルがSABRなのか、ShiftedSABRなのか
⑵求めるボラティリティがBlackボラティリティなのか、ShiftedLognormalボラティリティなのか、Normalボラティリティなのか
という2つの軸で分けることができる。
ここで、BlackボラティリティはShiftedLognormalボラティリティでシフト幅をゼロにしたものなので、別枠にする必要はないように思えるかもしれない。
しかし、原論文ではマイナス金利が考慮されていないため、シフト幅が出てこないBlackボラティリティの近似式しか書かれていない。
ShiftedLognormalボラティリティの近似式は、他の文献に探しに行かないといけないし、式もけっこう複雑になる。
話を戻すと、上記の⑴で2通り、⑵で3通りあるので、全部で6通りあることになる。
Haganらの原論文にあるのは、SABRモデルにおけるBlackボラティリティとNormalボラティリティである。
ここで、ShiftedSABRモデルにおけるShiftedLognormalボラティリティの近似式には、意味の異なる2つのシフト幅が出てくるので注意しよう。
つまり、SABRモデル自体のシフト幅と、ボラティリティでクォートするときに指定するシフト幅である。
これらは意味が異なるし、それぞれに別々の値を設定することができる。
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