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通貨オプションのデルタからストライクを逆算
通貨オプションはストライクがデルタでクォートされている。
デルタは、リスク中立確率測度のもとで、満期に原資産がストライクを超えている確率、すなわち到達確率である。
よって、同じデルタであっても、満期が長くなるほど、ストライクはスポットから離れた値になる。
長い時間をかけるほど、遠いところに到達できるはずだから、到達確率が同じになるストライクを比べれば、満期が長いほどスポットから遠い位置になる。
ストライクのスポットからの離れ具合を測る尺度として、通貨オプション市場ではデルタが用いられている、ということである。
このデルタだが、ややこしいことに、通貨オプション市場では多くの定義がある。
ひとくちにデルタと言っても、通貨ペアや満期によってその定義が異なるのである。
そのうち、デルタの分類では、ひとつの切り口として、スポットデルタか、フォワードデルタか、というのがある。
・スポットデルタは、オプションのスポット為替に対する感応度
・フォワードデルタは、オプションのフォワード為替に対する感応度
であり、これらは異なる値になる。
フォワード為替には、スポット為替に加えて2つの通貨の金利が織り込まれている。
金利は短期ではほとんど影響がないが、長期になるほど影響が大きくなり、フォワード為替がスポット為替から離れていく。
このスポットデルタとフォワードデルタの使い分けだが、基本的には
・満期1年以下はスポットデルタ、満期1年超はフォワードデルタ
・エマージング通貨を含む通貨ペアでは、満期によらずフォワードデルタ
となっている。
長期になるほど金利の影響が織り込まれているフォワードデルタになる。
ZARやTRYなど、エマージング通貨は金利の水準がかなり高いため、短期であろうと金利が無視できないこともあり、短期か長期かに関わらずフォワードデルタになっている印象だ。
デルタからストライクを逆算するときには、デルタのマーケットコンベンションに従って計算しないと、市場が想定するストライクとは異なる値になってしまう。
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