最小二乗モンテカルロとは

最小二乗モンテカルロ法は、LSMと呼ばれており、複雑なペイオフのコーラブル商品に使う数値計算手法である。コーラブルなしでもモンテカルロが必要なエキゾチック商品で、さらにコーラブルが付いている場合に用いる。

あるいは、Liborマーケットモデルのようにモンテカルロが必須になるモデルでコーラブル金利商品をプライシングするのにも使う。
また、CVAなどのXVA計算で、解析的に評価できないエキゾチック商品のエクスポージャーを測定するのにも広く用いられている。
 
コーラブル商品の評価では、将来の権利行使時点において、そこで行使した場合のデリバティブ価値と、行使しなかった場合のデリバティブ価値を比べて、大きい方を選択する必要がある。
行使しなかった場合の価値は継続価値と呼ばれるが、行使しなかったわけなので、もとのデリバティブのままである。だから、継続価値は、権利行使時点から見てさらに将来に生じるキャッシュフローの、条件付き期待値である。ここで、ただの期待値ではなくて条件付き期待値になるのはなぜかというと、権利行使時点が現在ではなく将来であり、その権利行使時点において原資産の値がどうなっているかに依存するからである。

 

 
なぜ最小二乗法が出てくるかというと、将来時点のデリバティブ時価は、条件付き期待値だからである。
条件付き期待値は、条件に用いられる変数によって張られる空間に射影したものである。一方で、最小二乗法も、説明変数によって張られる空間に、被説明変数を射影することで推定する。このため、条件付き期待値を、条件に用いられる変数の関数で近似し、その関数の係数を最小二乗法で推定しよう、というわけである。
 
当然ながら、この関数形をどう決めるか、という問題がある。一般には多項式で近似することになるが、
・多項式の種類について、普通のべき乗か、エルミート多項式か、など
・多項式の次数を何次にするか。二次なのか三次なのか、など
・多項式に代入する説明変数を何にするか。ショートレートを動かす状態変数か、スワップレートか、スワップ価値か、など
というように、多くの選択肢があり、これらのうちどの組み合わせにするかによって結果が変わってくる。

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