無担保取引用イールドカーブ生成

論点は3つである。

①プロジェクションカーブ(フォワードLIBOR計算用カーブ)

②ファンディング通貨のディスカウントカーブ

③ファンディング通貨以外の通貨のディスカウントカーブ

①プロジェクションカーブ

イールドカーブ生成にはディスカウントカーブとプロジェクションカーブがあるが、

無担保取引用に生成するのはたいていディスカウントカーブのみであり、プロジェクションカーブは無担保であっても有担保と同じものを使ってしまうことが多い。

もちろん、市場でクォートされているスワップレートは有担保ベースであり、そこから生成した有担保プロジェクションカーブを、そのまま無担保プロジェクションカーブに用いるのは正しくない。

しかし、無担保ベースのスワップレートが市場でクォートされているわけではないため、成す術がないという状態である。

さらに、既に述べたように、そもそも無担保ベースとは言っても、同じ通貨の無担保ファンディングレートが金融機関によって異なるため、それに基づいて無担保ベースのスワップレートをクォートすると、どの金融機関がレートを提示するかによって、異なるスワップレートがクォートされてしまう。

これらのことから、無担保ベースのマーケットレートはほとんど取得できない状況であるため、やむを得ずプロジェクションカーブは有担保と同じものを使うわけである。

一方、ディスカウントカーブについては、ファンディング通貨とそれ以外の通貨で生成方法が異なる。

②ファンディング通貨のディスカウントカーブ

ファンディング通貨については、計算上、自社のファンディングスプレッドを設定することが可能であることから、当該ファンディングスプレッドを基準金利に上乗せすることでカーブを生成する。

もちろん、スプレッドはフラットである必要はなく、会社によっては、期間や商品によって異なるファンディングスプレッドを設定しており、それをカーブに反映する、ということも行っているだろう。

期間については、手前はLIBORスプレッドやFRAスプレッドの形で、1年以降はスワップスプレッドの形でファンディングスプレッドを入力できるよう、システムを作ることが考えられる。

商品については、デリバティブと仕組債で異なるスプレッドを用いる、といった場合も考えられる。

③ファンディング通貨以外の通貨のディスカウントカーブ

ファンディング通貨以外の通貨については、通貨ベーシスを考慮する必要がある。

これは、既に述べたように、これら通貨のファンディングは、まずファンディング通貨を調達し、それを通貨ベーシススワップで他の通貨に変換することで調達することになるからである。

例えばJPYをファンディングしてきて、それを通貨ベーシススワップでUSDに変換する、という具合である。

この場合にUSDの無担保ファンディングレートは、USD LIBORフラットではなく、USD LIBORから通貨ベーシスが差し引かれる形になる(もちろん、正確には、そのまま単純に引き算すればいいわけではないが)。

JPYの通貨ベーシスはマイナスであるため、邦銀から見た場合のUSDの無担保ファンディングレートは、通貨ベーシス(の絶対値)の分だけ、USD LIBORよりも高くつく。

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