スマイルモデルの業界標準

ボラティリティスマイルをストライク方向に補間補外するモデルには、アセットクラスごとに業界標準がある。

金利スマイルはSABR、為替スマイルはVannaVolga、株価スマイルはSVIである。
いずれも初等的なテキストでは説明されていないが、スマイルを補間できないと、バニラオプションすら評価できないため、非常に重要だ。
これら3つのスマイルモデルはいずれも、モデルボラティリティの計算が解析的にできることで広まった。スマイルにキャリブレーションするには最適化を回さないといけないため、スマイルモデルには速く計算できることが求められる。
コモディティにもスマイルはあるようだが、よく知らない。クレジットはそもそもCDSオプションのクォートがあまりない。
 
SABRには多くのバリエーションがあり、それを拡張したものもある。各社それぞれ少し異なる方法を使っているようだ。
バリエーションとしては、原資産のダイナミクスに関するものと、バニラオプション評価時に用いる数値計算手法に関するものと、2つの方向がある。
ダイナミクスについては、β=0の場合やρ=0の場合は準解析解があるため、それを応用する場合がある。また、ダイナミクスにパラメーターを追加したものを用いている場合もある。
数値計算手法としては、解析近似解を用いる場合以外に、PDEを数値的に解く場合がある。最も有名なのはHaganによる解析近似解である。
 
VannaVolgaは通貨オプショントレーダーに広く用いられているが、原資産ダイナミクスはなく、Black-Scholesをベースにしてアドホックに拡張したものである。なので、理論的根拠がなく、かなり矛盾をはらんでいるようなロジックだが、3×3の逆行列を求めるだけで解析的に求められることから、一般的に用いられている。
文献でよく紹介されているVannaVolgaは、25デルタのみであるため、ストライクが25デルタプット、ATM、25デルタコールの3点のみのケースである。しかし、実務では10デルタプットと10デルタコールを含めて5点を用いるが、この場合にどうするかは文献にはあまり書かれていない。よく見るのは、デルタごとに求めたオーバーヘッジ部分をストライク方向に線形補間するものだが、これまた理論的根拠がない方法だ。
 
SVIはGatheralが提唱したStochastic Volatility Inspiredモデルだが、これはエクイティオプショントレーダーに広く用いられている。
これまた原資産ダイナミクスがなく、マネーネスとトータルバリアンスの関係にパラメトリックな関数形を仮定して補間するものだ。関数形がシンプルで解析的に求められることから、一般的に用いられている。
エクイティスマイルの形状にうまくフィットすることで有名だが、かなり初期値に依存することで知られる。別の初期値を用いてキャリブレーションすると、さっきよりスマイルにフィットした、ということがよくある。このため、良い初期値をうまく選ぶ方法や、一部のパラメーターのみを動かして、その他のパラメーターはそれらから解析的に求める方法など、キャリブレーション方法が数多く研究されている。

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