リパッケージ債については何度か説明したが、ここではそれにコーラブル条項がついたものを見ていく。
リパッケージ債は、
・機関投資家が、魅力のなくなった日本国債などの債券を担保としてSPCに預ける
・SPCが証券会社とアセットスワップを行うことで、担保債のクーポンを変換し、より魅力的に見える仕組クーポンを証券会社から受け取る
・SPCはリパッケージ債という仕組債を発行し、受け取った仕組クーポンを仕組債のクーポンとして機関投資家に払う
というものである。
日本の機関投資家はデリバティブを取引したがらない。というのは、デリバティブは有担保が一般的なので担保管理がわずらわしいし、なにより時価評価させられてしまうのはなにがなんでも避けたい、ということらしい。担保管理なしということは、それだけ大きなカウンターパーティリスクを背負うことになるのだが、そんなことはおかまいなしに、デリバティブではなく仕組債として債券の形で投資したがるのである。
これにコーラブル条項がついているものも多い。早期償還条項である。これは、スワップカウンターパーティである証券会社の好きな時に、仕組債を償還し、その後のクーポン支払いをやめられる。
ここで重要なのは、このとき、証券会社は担保債を額面つまりパーで買い取る、という点である。
このため、担保債の価格が下落すると、証券会社は額面で買い取りたくないので、早期償還されないが、担保債の価格が上昇すると、早期償還すると同時に担保債を額面で買い取ることになる。
証券会社からすれば、残存するアセットスワップの時価と、担保債の時価および額面を、全て考慮に入れてコールするかを決める。この早期償還条項はたいていバミューダン型で権利行使可能日が複数あるため、コーラブルスワップと同時にバックワードに評価する必要がある。さらに、担保債をパーで買い取ることも考慮しないといけないため、少しひと手間加える必要がある。
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