バリアが付いている商品について、バリア観察の仕方はふた通りある。連続バリアと離散バリアである。
連続バリアは、バリアにヒットしたかどうかを判定するために、ひと時も休まず常に原資産の値動きを観察するものだ。したがって、終値ではなく、日中の値動きも観察するため、ザラ場参照ともいわれる。
離散バリアは、特定の日付において、終値あるいは特定の時刻でのみ原資産を観察するものだ。例えば毎月15日の東京時間15:00などである。
この2つを特に区別しているのは、エクイティ系のオートコーラブル商品だ。たいてい、アップアウトバリアは離散バリアだが、ダウンインバリアはザラ場参照なので連続バリアになっている。
明らかに、連続バリアの方が離散バリアよりも、バリアにヒットする確率は高くなる。
バリアの付いたオートコーラブルなどのエキゾチック商品のプライシングでは、モンテカルロシミュレーションを用いる。その場合は解析解とは違って、シミュレーショングリッドにおいて離散的にしか原資産を参照できない。
離散バリアになっているアップアウトバリアの方はそれでいいのだが、問題は連続バリアになっているダウンインバリアの方である。そのままモンテカルロを使うと、離散バリアとして扱われるため、バリアにヒットする確率を過小に見積もってしまう。
これを修正する方法の1つは、Continuity Correctionという方法だ。離散的にしか参照できないバリアが、実際には連続バリアなので、
・そのバリア位置をスポットレートの水準に近づけて、
・その近いバリアを離散的に参照する
という方法で、お手軽なので実務でよく用いられている。
バリアが近づいたことによりヒットしやすくなるため、連続バリアにヒットする確率の過小評価を打ち消すことができる。
ではどれくらいバリアを近づければいいのか、というと、
新しいバリア = 元のバリア × 係数
における係数を、
係数 = exp( ±βσ√δt )
とすればよい。ここで、βはだいたい0.5826、σは原資産のボラティリティ、δtは時間の刻み幅である。
ちなみにβはゼータ関数を用いて
β = -ζ(1/2)√2π
と表される。
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