信用リスクモデルに共通化の流れ

欧州では監督当局が信用リスクモデルのデータを共通化し、どの銀行でも利用できるようにする流れがあるようだ。

欧州には多くの国が含まれ、銀行数も多いが、それらを統一的に監督する必要がある。
一方で、銀行のリスク管理には高度化を要求していかないといけない風潮は現在も続いており、監督当局としては、数多くの銀行が出してくる高度なリスクモデルをまとめてチェックするのが至難の技になってきている。
こういった状況もあり、信用リスクモデルにインプットとして用いるヒストリカルデータを一元的にプールしておき、それを各銀行が利用できるようにしたいようだ。
こうすることで、銀行ごとにインプットが異なる状況が回避され、当局がリスクモデルを銀行間で比較しやすくなる。
銀行サイドとしては、どんどん当局からのモデル高度化要求は高まるものの、最近ではもはや、モデル高度化による資本コスト削減の効果は限定的となってきており、モデル高度化のコスパが悪くなってきている。
さらに、インプットデータを共通化する流れも出てくると、次はリスクモデル自体も標準モデルに共通化するというステップが見えてくる。
こうなってくると、リスクモデル高度化というのは、もはや銀行間における競争優位性を保つことにはつながらない時代になったといえるかもしれない。

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