Vanna-Volga法は文献ではたいていストライク3つの場合が紹介されている。
・ATM
・25デルタコール
・25デルタプット
の3つである。
ブラックショールズ価格に対する調整項は、これら3つのオプションを組み合わせたヘッジポジションの構築コストとして求められる。
この調整項をオーバーヘッジ、あるいはOHと書くことがある。
しかし、市場から取得できる一般的な為替スマイルは、ストライクが以下の5つである。
・ATM
・25デルタコール
・25デルタプット
・10デルタコール
・10デルタプット
25デルタのみならず10デルタの2つが加わった。
文献に出てくるストライク3つのバンナボルガ法でスマイルを補間すると、
当然ながら10デルタのコールとプットについては、
補間したスマイルがマーケットのボラティリティを通らない。
つまりマーケットのボラティリティが再現しない。
そこで実務では、ストライク3つのバンナボルガ法でオーバーヘッジを出す手順を、25デルタと10デルタで2回繰り返す。
つまり、
・ATM、25デルタコールプットのストライク3つで、25デルタのOHを出す
・ATM、10デルタコールプットのストライク3つで、10デルタのOHを出す
・2つのOHをストライク方向に線形補間することで、補間したいストライクにおけるOHを求める
・求めたOHをブラックショールズ価格に足す
オリジナルのストライク3つのバンナボルガ法ですら、理論的に整合性が取れているとはいえない。
ストライク5つの場合になると、それにも増してさらにヒューリスティックな方法と言わざるを得ないが、実務では結構使われている。