確率ローカルボラティリティモデルとは

Stochastic Local Volatility Model、略してSLV、または

Local Stochastic Volatility Model、略してLSVと呼ばれる。
日本語では、確率局所ボラティリティモデルとも呼ばれる。
 
使い道としては、為替系やエクイティ系のエキゾチック商品のプライシングであり、グローバルでは業界標準になっている。
日系ではあまり見かけないが、外資系では当たり前のようによく使われているモデルである。
ブルームバーグのプライシング画面でも、モデルの選択肢に入っている。
 
以前にも書いたように、ローカルボラティリティモデルと確率ボラティリティモデルには、それぞれ長所短所がある。
そこで、これら2つのモデルを合体させていいとこどりをしよう、というのがSLVモデルの発想である。
 
わざわざSLVモデルを導入する具体的なモチベーションとして、有名なのがダブルノータッチオプションの市場価格との整合性である。
ダブルノータッチオプションは為替系エキゾチックの中ではかなり流動性のある商品である。
このダブルノータッチの市場価格が、
 
・ローカルボラティリティモデルで出した価格と、
・確率ボラティリティモデルで出した価格
 
の間に入ってしまう、という問題だ。
具体的には、
 
・ローカルボラティリティモデルだと過小評価になってしまう
 
・確率ボラティリティモデルだと過大評価になってしまう
 
というのである。
 
この現象から、市場で行われているダブルノータッチのプライシングは、ローカルボラティリティモデルでもなく、確率ボラティリティモデルでもない、その中間のモデルで行われている、と考えられる。
 
次に、スマイルのダイナミクスの問題がある。
 
・ローカルボラティリティモデルだとスティッキーストライクっぽい動きになる
 
・確率ボラティリティモデルだとスティッキーデルタっぽい動きになる
 
・市場のスマイルダイナミクスは、スティッキーデルタ気味ではあるものの、ケースバイケース
 
というわけで、確率ボラティリティの要素が必要、ということになる。
 
スマイルのダイナミクスとは、原資産が動いたときにスマイルがどう動くか、を指している。
スマイルのダイナミクスは、
・経路依存商品のプライシング
・グリークスと呼ばれるリスク値の計算結果に大きな影響を与える。
 
現実的なリスク値を出すには、ローカルボラティリティだけではダメで、確率ボラティリティの要素が必要、というわけだ。
 
しかし確率ボラティリティだけだと、今日のスマイルに完全にはフィッティングしないため、ローカルボラティリティの要素も必要、ということになる。
 
そういうわけで導入されたのが確率ローカルボラティリティモデルなのである。
 
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