SVIによる株価スマイル補間の基礎

SVIは株価スマイルの補間によく用いられているロジックである。

Stochastic Volatility Inspiredの略であり、名前の由来としては、代表的な確率ボラティリティモデルであるHestonモデルにおいて、Tの極限としてSVIが現れるからだ。

スマイルの補間ロジックには多くの種類があるが、大きく分けて次の2種類に分かれる。

⑴原資産のダイナミクスを仮定するもの

⑵原資産のダイナミクスを仮定せずに、ボラティリティとストライクの関係式を決め打ちするもの

⑴のうちほとんどは、SABRやHestonなど、確率ボラティリティモデルに分類されるものだ。

⑵の代表格としてSVIがある。しかしSVIでは、

・ボラティリティではなくトータルバリアンスの式を決め打ちする。

ここでトータルバリアンスとは、ボラティリティの二乗にオプション満期をかけたものだ。また、

・ストライクの絶対水準ではなく、フォワードレートからストライクまでの相対的な距離、マネーネスについての関数となっている。

SVIではトータルバリアンスに以下の式を仮定する。

a + b (ρ(k – m) + sqrt((k – m)^2 + σ^2))

SVIによるスマイル補間は

ここで、k := log(K/F)つまりlogマネーネスである。

SVIのパラメーターは、a, b, σ, ρ, mの5つである。

・aはスマイル全体の水準

・bはスマイル全体の曲率

・σはATM付近の曲率

・ρはスマイルの傾き

・mはスマイル全体の左右シフト

をコントロールする。

これらパラメーターの組み合わせを、マーケットでクォートされている満期の数だけキャリブレーションする。つまり満期ごとにパラメーターが異なる。

これら5つのパラメーターをSVI raw parametersというが、実務ではこれら5つのパラメーターを変数変換して、よりトレーダーが直感的にわかるパラメーターに変換して管理している。

よくある変数変換後のパラメーターは、

・ATMボラティリティ

・ATM付近の傾き

・左ウィング傾き

・右ウィングの傾き

・スマイルの頂点のボラティリティ

という5つに変換するか、他には、

・ATMボラティリティ

・左ウィングの傾き

・左ウィングの曲率

・右ウィングの傾き

・右ウィングの曲率

という5つに変換することもある。