ターム物RFR金利は実取引に基づくレートなのか?

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解説

日本でもターム物RFRの議論が始まっているようだ。

 
そもそもLiborがなぜ廃止されるのかというと、Liborが銀行の言い値であって、銀行も別にLiborの水準で取引する義務はなく、Liborが実取引に基づいていないからであった。
そこでLiborを、実取引に基づくレートであるRFRで置き換えよう、という話になった。
 
円マーケットでは、円Liborの代わりとしてTONARがRFRとして選択された。
しかしこれはオーバーナイトレートであり、ターム物レートではない。
Libor自体がターム物レートであるため、それではLiborの代替としては使いづらい。
 
そこで出てくるのがターム物RFRなのだが、これは元となる実取引からはかなり遠い存在のものである。
実際、以下のように、金利の階層がいくつも折り重なっており、その最終形態に近いものとして登場するのが、ターム物RFRなのである。
 
 
第一形態 (実取引のレート)
無担保コール翌日物
 
 
第二形態 (オーバーナイトインデックス)
TONAR
=無担保コール翌日物レートを加重平均したもの
 
 
第三形態 (後決め複利レート)
毎日のTONARを複利運用して決まる後決めレート
=OISの変動金利サイド
 
 
第四形態 (OISレート)
OISの変動金利サイドと等価になるような固定金利
 
 
第五形態 (ターム物RFR)
短期OISレートのうち、スワップ満期が6M, 3M, 1Mのもの
 
 
第六形態 (ターム物RFRを変動金利インデックスとするスワップのスワップレート)
TONAR6Mを参照するスワップのスワップレートなど
 
 
第一形態は確かに実取引のレートなのかもしれないが、第四形態はスワップレートのマーケットクォートであり、気配値のようなものである。
また、円OISマーケットは、その気配値を使ってみんなディスカウントカーブを作ってはいるものの、まだ実取引がほとんどないものと思われる。
短期ゾーンのOISマーケットにかなりの流動性が出てこないと、ターム物RFRをLiborの代わりとして参照するというのは無理があるだろう。
Liborに信頼性がないからRFRに切り替えるはずだったのだが、Liborと同じかそれ以上に信頼性のないターム物RFRに切り替えようとしているのは、なんとも滑稽で皮肉な状態になっていると言わざるを得ない。
 
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